大判例

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東京地方裁判所 平成9年(特わ)3140号

被告人

本店の所在地

東京都品川区東五反田一丁目二三番六号 ロゼビル六B

有限会社ワールドプロモート

右代表者代表取締役本田親晴

本店の所在地

東京都品川区東五反田一丁目四番一一号 五反田コーポラス三〇五号

有限会社優幸プランニング

右代表者代表取締役齋藤晴次

本店の所在地

東京都墨田区江東橋二丁目一七番二号

株式会社成豊コーポレーション

右代表者代表取締役大内伸一郎

本籍

東京都大田区大森北四丁目一四五番地

住居

東京都大田区大森北四丁目二〇番一号

会社役員

本田親晴

昭和二〇年一月一日生

出席検察官 高畠久尚

弁護人(私選) 武田喜治

主文

1  被告人有限会社ワールドプロモートを罰金一八〇〇万円に処する。

2  被告人有限会社優幸プランニングを罰金七〇〇万円に処する。

3  被告人株式会社成豊コーポレーションを罰金八五〇万円に処する。

4  被告人本田親晴を懲役一年六か月に処する。

被告人本田親晴に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

【犯罪事実】

第一  被告人有限会社ワールドプロモート(以下被告会社ワールドプロモートという)は、東京都品川区東五反田一丁目二三番六号ロゼビル六Bに本店を置いて、バー、キャバレーの営業等を目的とする資本金三〇〇万円の有限会社であり、被告人本田親晴(以下被告人という)は、被告会社ワールドプロモートの代表取締役として、被告会社の業務全般を統括しているものである。

被告人は、被告会社ワールドプロモートの業務に関し、法人税を免れようと考え、売上の一部を除外するなどして、所得を秘匿した上、次のとおり法人税を免れた。

一  被告人は、平成四年三月一七日から平成五年二月二八日までの事業年度において、被告会社ワールドプロモートの所得金額が四一四四万八一五八円であったにもかかわらず、同年四月二三日、東京都港区高輪三丁目一三番二二号品川税務署において、品川税務署長に対して、当該年度において欠損金額が七四六万八七五三円(別紙1の修正損益計算書参照)生じ、納付すべき法人税額がない旨の虚偽の法人税確定申告書(平成九年押第一九〇四号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、不正の行為により、被告会社ワールドプロモートの前記事業年度における正規の法人税額一四七八万三〇〇〇円(別紙9のほ脱税額計算書参照)を免れた。

二  被告人は、平成五年三月一日から平成六年二月二八日までの事業年度において、被告会社ワールドプロモートの所得金額が五〇三六万五五三九円であったにもかかわらず、同年四月二五日、前記品川税務署において、品川税務署長に対して、その所得金額が零(別紙2の修正損益計算書参照)であり、納付すべき法人税額がない旨の虚偽の法人税確定申告書(平成九年押第一九〇四号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、不正の行為により、被告会社ワールドプロモートの前記事業年度における正規の法人税額一八一二万六八〇〇円(別紙10のほ脱税額計算書参照)を免れた。

三  被告人は、平成六年三月一日から平成七年二月二八日までの事業年度において、被告会社ワールドプロモートの所得金額が一億〇二五〇万三八八九円であったにもかかわらず、同年四月二五日、前記品川税務署において、品川税務署長に対して、その所得金額が二七四万一〇四八円(別紙3の修正損益計算書参照)であり、これに対する法人税額が七六万七四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成九年押第一九〇四号の3)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、不正の行為により、被告会社ワールドプロモートの前記事業年度における正規の法人税額三七六七万八六〇〇円と申告税額との差額三六九一万一二〇〇円(別紙11のほ脱税額計算書参照)を免れた。

第二  被告人有限会社優幸プランニング(以下被告会社優幸プランニングという)は、東京都品川区東五反田一丁目四番一一号五反田コーポラス三〇五号に本店を置いて、バー、キャバレーの営業等を目的とする資本金三〇〇万円の有限会社であり、被告人は、被告会社優幸プランニングの実質的な経営者として、被告会社優幸プランニングの業務全般を統括しているものである。

被告人は、被告会社優幸プランニングの業務に関し、法人税を免れようと考え、売上の一部を除外するなどして、所得を秘匿した上、次のとおり法人税を免れた。

一  被告人は、平成三年一二月一日から平成四年一一月三〇日までの事業年度において、被告会社優幸プランニングの所得金額が五二九五万八八三〇円であったにもかかわらず、平成五年二月一日、前記品川税務署において、品川税務署長に対して、その所得金額が四三万九一九円(別紙4の修正損益計算書参照)であり、これに対する法人税額が一二万〇四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成九年押第一九〇四号の4)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、不正の行為により、被告会社優幸プランニングの前記事業年度における正規の法人税額一九〇九万九二〇〇円と申告税額との差額一八九七万八八〇〇円(別紙12のほ脱税額計算書参照)を免れた。

二  被告人は、平成四年一二月一日から平成五年一一月三〇日までの事業年度において、被告会社優幸プランニングの所得金額が二一四四万一三二八円であったにもかかわらず平成六年一月二八日、前記品川税務署において、品川税務署長に対して、その所得金額が二八四万四一八六円(別紙5の修正損益計算書参照)であり、これに対する法人税額が七九万六三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成九年押第一九〇四号の5)を提出し、そのまま法定納期限を徒適させ、不正の行為により、被告会社優幸プランニングの前記事業年度における正規の法人税額七二八万〇三〇〇円と申告税額との差額六四八万四〇〇〇円(別紙13のほ脱税額計算書参照)を免れた。

第三  被告人株式会社成豊コーポレーション(以下被告会社成豊コーポレーションという)は、東京都墨田区江東橋二丁目一七番二号に本店を置いて、バー、キャバレーの営業等を目的とする資本金一〇〇〇万円(平成八年五月二四日以前は八〇〇万円、同月八日以前は二〇〇万円)の株式会社であり、被告人は、被告会社成豊コーボレーションの実質的な経営者として、被告会社成豊コーポレションの業務全般を統括しているものである。

被告人は、被告会社成豊コーポレションの業務に関し、法人税を免れようと考え、売上の一部を除外するなどして、所得を秘匿した上、次のとおり法人税を免れた。

一  被告人は、平成三年一〇月一日から平成四年九月三〇日までの事業年度において、被告会社成豊コーポレーションの所得金額が三六三〇万二六〇二円であったにもかかわらず、同年一一月二六日、東京都墨田区業平一丁目七番二号本所税務署において、本所税務署長に対して、その所得金額が七三万八九一九円(別紙6の修正損益計算書参照)であり、これに対する法人税額が二〇万六六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成九年押第一九〇四号の6)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、不正の行為により、被告会社成豊コーポレーションの前記事業年度における正規の法人税額一二八五万三二〇〇円と申告税額との差額一二六四万六六〇〇円(別紙14のほ脱税額計算書参照)を免れた。

二  被告人は、平成四年一〇月一日から平成五年九月三〇日までの事業年度において、被告会社成豊コーポレーションの所得金額が三五四三万九一一九円であったにもかかわらず、同年一一月二九日、前記本所税務署において、本所税務署長に対して、その所得金額が一二四万八八〇〇円(別紙7の修正損益計算書参照)であり、これに対する法人税額が三四万九四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成九年押第一九〇四号の7)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、不正の行為により、被告会社成豊コーポレーションの前記事業年度における正規の法人税額一二五二万九六〇〇円と申告税額との差額一二一八万〇二〇〇円(別紙15のほ脱税額計算書参照)を免れた。

三  被告人は、平成五年一〇月一日から平成六年九月三〇日までの事業年度において、被告会社成豊コーポレーションの所得金額が二三四四万二一三九円であったにもかかわらず、同年一一月二八日、前記本所税務署において、本所税務署長に対して、その所得金額が一八九万三六八六円(別紙8の修正損益計算書参照)であり、これに対する法人税額が五三万円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成九年押第一九〇四号の8)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、不正の行為により、被告会社成豊コーポレーションの前記事業年度における正規の法人税額八〇三万〇七〇〇円と申告税額との差額七五〇万〇七〇〇円(別紙16のほ脱税額計算書参照)を免れた。

【証拠】(括弧内の甲乙の番号は証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示す。)

全事実について

一  被告人の公判供述

一  被告人の検察官に対する供述調書(乙二)

第一、第二、第三の各冒頭の事実について

一  被告人の検察官に対する供述調書(乙一)

第一の各冒頭の事実について

一  登記簿謄本(乙五)

第一、第二の各全事実について

一  捜査報告書(甲三九)

第一の全事実について

一  中沢晴子、工藤保の検察官に対する各供述調書

一  売上高調査書(甲一)、仕入高調査書(甲二)、社交手数料調査書(甲三)、給料手当調査書(甲四)、福利厚生費調査書、広告宣伝費調査書、旅費交通費調査書、水道光熱費査書(甲一〇)、消耗品費調査書(甲一一)、支払手数料調査書、地代家賃調査書(甲一五)、雑費調査書

第一の一、第一の三の各事実について

一  車両費調査書

第一の一の事実について

一  申告欠損金調査書

一  法人税の確定申告書一袋(平成九年押第一九〇四号の1)

第一の二、第一の三の各事実について

一  通信費調査書(甲九)、リース料調査書、雑収入調査書、事業税認定損調査書(甲一八)、繰越欠損金当期控除額調査書

第一の二の事実について

一  法人税の確定申告書一袋(平成九年押第一九〇四号の2)

第一の三の事実について

一  修繕費調査書

一  法人税の確定申告書一袋(平成九年押第一九〇四号の3)

第二の冒頭の事実について

一  登記簿謄本(乙六)

第二の全事実について

一  被告会社優幸プランニング代表者齋藤晴次の検察官に対する供述調書

一  売上高調査書(甲二一)、仕入高調査書(甲二二)、社交手数料調査書(甲二三)、給料手当調査書(甲二四)、役員賞与の損金不算入額調査書(甲三〇)

第二の一の事実について

一  演奏費調査書

一  法人税の確定申告書一袋(平成九年押第一九〇四号の4)

第二の二の事実について

一  通信費調査書(甲二五)、水道光熱費調査書(甲二六)、消耗品費調査書(甲二七)、地代家賃調査書(甲二八)、事業税認定損調査書(甲三一)

一  法人税の確定申告書一袋(平成九年押第一九〇四号の5)

第三の冒頭の事実について

一  履行事項全部証明書、閉鎖事項全部証明書

第三の全事実について

一  渡邊敏一の検察官に対する供述調書

一  売上高調査書(甲三二)、社交手数料調査書(甲三三)、給料手当調査書(甲三四)、役員賞与の損金不算入額調査書(甲三五)

第三の一の事実について

一  法人税の確定申告書一袋(平成九年押第一九〇四号の6)

第三の二、第三の三の各事実について

一  事業税認定損調査書(甲三六)

第三の二の事実について

一  法人税の確定申告善一袋(平成九年押第一九〇四号の7)

第三の三の事実について

一  法人税の確定申告善一袋(平成九年押第一九〇四号の8)

【法令の適用】(以下刑法は、平成七年法律第九一号附則二条一項本文により、同法による改正前のものである)

被告人の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に該当するところ、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、刑法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年六か月に処し、情状により刑法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとし、さらに、被告人の判示第一の各所為は、被告会社ワールドプロモートの業務に関して行われ、被告人の判示第二の各所為は、被告会社優幸プランニングの業務に関して行われ、被告人の判示第三の各所為は、被告会社成豊コーポレーションの業務に関して行われたものであるから、被告会社三社については、被告人がその業務に関して行った各所為についていずれも法人税法一六四条一項により法人税法一五九条一項の罰金刑に処せれるべきところ、各罪について情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社三社それぞれについて刑法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算し、その各金額の範囲内で被告会社ワールドプロモートを罰金一八〇〇万円に、被告会社優幸プランニングを罰金七〇〇万円に、被告会社成豊コーポレーションを罰金八五〇万円に処することとする。

【量刑の事情】

本件は、バー、キャバレーの営業等を目的とする被告会社一社の代表取締役、同機の営業等を目的とする被告会社二社の実質的な経営者である被告人が、被告会社三社の各所得について、売上の一部を除外するなどして、被告会社二社の各三事業年度、被告会社一社の二事業年度にわたり、合計一億二七六一万一三〇〇円の法人税を免れたという事案であり、脱税額は決して鰹視できるものではなく、正規の税額に対して脱税額が占める割合も、九〇パーセントを優に超えている。

被告人は、被告会社三社の業務に関して、従業員に指示するなどして、伝票類を書き換えて各日の売上の一部を除外し、正規の伝票類を廃棄した上、簿外資金を借名銀行預金口座に入金していたのであり、このような所得の秘匿方法は決して見過ごすことができるものではなく、その結果、国税当局は、正確な所得を把握できない期間については、推計によって所得を算出することを余儀なくされている。被告人、被告会社三社の刑事責任は重いというほかない。

他方において、被告会社三社は、免れていた法人税について、本税、重加算税、延滞税の一部を支払っているにすぎず、そのすべてを納付することができない状態にあり、これまで留保していた簿外資金をこれらの支払に充てているなど、相応の経済的な制裁を受けている上、被告人は、本件の事実関係を認めて、反省の態度を示し、これまで、被告会社三社について、税理上を通じて確定申告をしているにすぎなかったのを改め、税理士から定期的に指導を受けるなど、経理事務の改善をはかっているなど、被告人にとって有利な事情もある。

そこで、これらの事情を総合して考慮し、被告会社三社をそれぞれ主文の罰金刑に処し、被告人を主文の懲役刑に処した上、被告人に対する懲役刑の執行を猶予することとした。

(裁判官 山口雅髙)

別紙1

修正損益計算書

自 平成4年3月17日

至 平成5年2月28日

有限会社ワールドプロモート

<省略>

別紙2

修正損益計算書

自 平成5年3月1日

至 平成6年2月28日

有限会社ワールドプロモート

<省略>

別紙3

修正損益計算書

自 平成6年3月1日

至 平成7年2月28日

有限会社ワールドプロモート

<省略>

別紙4

修正損益計算書

自 平成3年12月1日

至 平成4年11月30日

有限会社優幸プランニング

<省略>

別紙5

修正損益計算書

自 平成4年12月1日

至 平成5年11月30日

有限会社優幸プランニング

<省略>

別紙6

修正損益計算書

自 平成3年10月1日

至 平成4年9月30日

有限会社成豊コーポレーション

<省略>

別紙7

修正損益計算書

自 平成4年10月1日

至 平成5年9月30日

株式会社成豊コーポレーション

<省略>

別紙8

修正損益計算書

自 平成5年10月1日

至 平成6年9月30日

有限会社成豊コーポレーション

<省略>

別紙9

ほ脱税額計算書

自 平成4年3月17日

至 平成5年2月28日

有限会社ワールドプロモード

<省略>

別紙10

ほ脱税額計算書

自 平成5年3月1日

至 平成6年2月28日

有限会社ワールドプロモード

<省略>

別紙11

ほ脱税額計算書

自 平成6年3月1日

至 平成7年2月28日

有限会社ワールドプロモード

<省略>

別紙12

ほ脱税額計算書

自 平成3年12月1日

至 平成4年11月30日

有限会社優幸プランニング

<省略>

別紙13

ほ脱税額計算書

自 平成4年12月1日

至 平成5年11月30日

有限会社優幸プランニング

<省略>

別紙14

ほ脱税額計算書

自 平成3年10月1日

至 平成4年9月30日

有限会社成豊コーポレーション

<省略>

別紙15

ほ脱税額計算書

自 平成4年10月1日

至 平成5年9月30日

有限会社成豊コーポレーション

<省略>

別紙16

ほ脱税額計算書

自 平成5年10月1日

至 平成6年9月30日

有限会社成豊コーポレーション

<省略>

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